えいご日日平安

つれづれなるままに 日暮らし 硯に向かひて

思い出は、いつの日も晴れ

数年前まで、私は仙台に住んでいました。東京で生まれ育った者から見る仙台は、空が大きく、街はきれいで、とても素敵なところでした。特に、今の時期は若葉の緑が眩しく、とても魅力的な仙台を楽しむことが出来ます。そういったことからなのか、自分の思い出の中にある仙台は、太陽が燦々と煌き、いつも晴れています。当然のことですが、毎日晴れているわけではなく、梅雨に入る時期になると、曇りがちで寒くなりますし、冬になると毎日のように雪がチラチラ舞います。まとまった雪が降ると、家のまわりの雪かきを何度もしなければなりません。それでも、思い出の中はいつも晴れている仙台です。

一方、夜の思い出は満天の星でしょうか。空が星で埋め尽くされて、いつもなら肉眼では確認できないような光の弱い星でも見ることの出来る、そんな夜空です。あまり思い出したくはない、2011年3月11日、東日本大震災の夜です。その日は、揺れている最中からなのか、揺れが収まった後なのか水道、ガス、電力の供給が止まりました。日が暮れると、街灯も家々の灯りも消えたままで、家の周りは真っ暗になっていきました。震災直後から降っていた雪も止み、空を見上げた時、無数の星が煌めいていることに気づきました。

歌を歌うような気分ではなかったのに、"Starry, starry night,"と、ふと口に出たのがこの曲でした。星空のことを歌っている曲ではないのですが、おそらく無数の星が散りばめられた夜空が、この曲の優しいメロディを誘ったのだと思います。

 


don mclean - vincent

Starry starry night

Paint your pallet blue and grey

Look out on a summer's day

With eyes that know the darkness in my soul

Shadows on the hill

Sketch the trees and daffodils

And catch the breeze and winter chills

In colors on the snowy linen land

And now I understand

What you tried to say to me

How you suffered for you sanity

How you tried to set them free

They would not listen they did not know how

Perhaps they'll listen now

 

星月夜

パレットを青とグレーに染め

夏の日に窓の外を見つめる

私の心の闇を見抜いた目で

丘に降りた闇

木々と水仙をスケッチしながら

そよぐ風と冬の冷たさを感じる

清らかな亜麻色に包まれて

今、私が分かるのは

私に何を言おうとしたのかを

いかにあなたが普通であり続けることに苦しんだか

どれだけ彼らを自由にしてあげたかを

彼らは聞く耳を持つつもりは無く、知りもしなかった

今なら耳を傾けるだろうが

 

この曲は、フィンセント·ファン·ゴッホに捧げた曲で、彼の人生の中の様々な局面を盛り込んでいるようです。ゴッホのことをよく存じ上げない身にとっては、非常に難解な歌詞に感じます 。冒頭の"Starry starrry night"の部分は、ゴッホの”The starry night"という絵画の日本名が「星月夜」というそうなので、そのまま訳に入れました。

 

私は極めて思い込みが激しく、この曲を初めて聴いた時は、"Vincent"というタイトルから、てっきり”Be Bup A-lula"で有名なジーン·ヴィンセントのことを歌ったものだと思っていました。その割には、曲調が穏やかだったので、なんとなく違和感が消えませんでした。そして、後日"Vincent"がゴッホのことだと知った時に、自分の浅はかさと初めてゴッホのフルネームを知るに至りました。

 

洋楽を聴くと、英語の意味や使い方を覚えることができますが、それに付随する知識も増えるのが楽しみでした。