えいご日日平安

つれづれなるままに 日暮らし 硯に向かひて

ちょっと今日は長くなりますが、

先週は毎日雨模様の日が続いていましたが、週が改まって日曜日になると、久しぶりに青空が広がりました。私の妻も朝から、掃除、洗濯、家の周りの草取り、買い物、と忙しい時間を過ごし、今はシエスタの真っ最中です。その寝顔を見ていると、これまでの共に過ごして来た約三十年をいろいろ思い出します。同じ年代の一般的な夫婦が、どの程度仲が良いのかは分かりませんが、私たちは良いほうだろうな、と思います。個人的には、感謝の気持ちを持ち続けてきたから、自然と妻に気を遣える、その事に対して、同じような気遣いをみせてくれるという繰り返しが良かったのではないかなと思います。その妻が時折、ある曲が自分自身を変えてくれたと話します。

 

私の妻の父親は、小さな会社を経営していました。そういう場合のお決まりごととして、従業員である周りの大人が、みんな社長の娘ということで大切に扱ってくれるということがあります。ご多分に漏れず、妻もそのような中で育ちました。それに加え、小学生の頃は、学年で一番頭が良く、スラッとした長身、おまけに顔も可愛い女の子だったようです(本人談)。ですから、当然のように、自分に対してはみんな優しくしてくれる、自分の言ったことを誰も否定しない、ある意味で絵に描いたようなわがままなお嬢様でした。そのまま順調に成長している中で、私は彼女と出会いました。その頃の印象は、とても面白く元気で、ニキビの残っている可愛い女性という感じでした。でも、一つだけ問題だったのは、常に強気だったのです。一緒に飲みに行って、何かの話からケンカになっても、持論を曲げない、自分の言いたいことを遠慮なしに言う、でも最後は仕方なく彼女が謝って終わるというパターンでした。その点だけが私にはちょっぴり残念でした。ある日、私が持っているレコードから何曲かをカセットテープに入れて、彼女に渡しました。その中の一曲が、自分を言動を振り返るものとなったようです。

 


The Alan Parsons Project- Eye in the Sky

 

Don't think sorry's easily said

Don't try turnin' tables instead

You've taken lots of chances before

I ain't gonna give anymore

Don't ask me

That's how it goes

Cause part of me knows what you're thinking

 

Don't say words you're gonna regret

Don't let the fire rush to your head

I've heard the accusation before

I ain't gonna take anymore

Believe me

The sun in your eyes

Made some of the lies worth believing

 

I am the eye in the sky, looking at you

I can read your mind

I am the maker of the rules, dealing with fools

I can cheat you blind

And I don't need to see any more

To know that I can read your mind

 

謝罪の言葉を容易に言えると思ってはいけない

だからといって、開き直ろうとするのもいけない

これまで沢山の機会があったのに

もうそういうこともないだろう

頼まれても無理だ

そんなものなんだ

僕の身体の一部では君の考えていることを分かっているのだから

 

後悔するような言葉は口に出してはいけない

逆ギレしてしまうのもいけない

今まで言いがかりをつけられたこともあった

もう耐えられない

本当なんだ

君の瞳に映る太陽が君の嘘を信じるに足りるものにしていたんだ

 

僕は空から君を見つめている

君の心を読むことも出来る

僕は愚かな人たちを相手にするためのルールだって作れる

君を無一文にすることもね

だから、もう見る必要もない

だって、僕には君の心が読めるとわかったから

 

続きを書く前に、一つだけ。歌詞の下から三行目の、"cheat you blind" に関しては、英英辞典に"To succeed completely in cheating someone and taking their money" という説明がありました。なんか唐突な感じでしたが、上のように訳してみました。

 

続きに戻ります。彼女には、最初のフレーズ、"Don't think sorry's easily said" というのが、身に沁みたようでした。実は、それまでの生活から、謝りたくても謝れない自分があったようです。少し歌詞の意味とは離れてしまうのですが、この曲を聴いて、謝れない自分を私が上空から見つめてくれているんだと、思ってくれていたようです。図らずも、という感じでした。それからの彼女は、自分にとってより一層魅力的な女性に変わっていきました。お互いの人生が決まるような一曲があったことに、感慨ひとしおです。

 

このグループを率いるAlan Personsは、あのThe Beatlesのレコードエンジニアとして1969年から働いていました。可哀想なことに、元々大のビートルズファンだったにもかかわらず、あの有名な映画'Let It Be "の屋上ライブの時には、地下で作業をしていて自分の目で全てを見ることが出来なかったそうです。でも、スタジオでは毎日のようにレコーディング作業を見ていたはずなので、彼にとっては大したことではなかったのかも知れません。翌年の解散に向かう中での、険悪な雰囲気での生々しいメンバー同士のやり取りを見ることが出来たのですから。