えいご日日平安

つれづれなるままに 日暮らし 硯に向かひて

お時間を少し頂けませんか

 銀座の話を書いていて思い出したことが、色々ありました。

 

前回書いた銀座ヤマハの並びに、以前東芝ギンザセブンというショールームがありました。ビアホールライオン銀座7丁目店の隣にあったビルだと、記憶しています。その二階に視聴覚ライブラリー?があり、中学生の頃に友人とよく行きました。少し照明を落とした視聴ルームで、無料でビデオを見ることが出来、いつもビートルズのビデオを見ていました。と、今日はその話ではありません。

 

当時は中学生だったこともあり、毎回儀式のように繰り返される洗礼のようなものがありました。今の有楽町マリオンのところに、日劇があった頃です。有楽町駅に向かおうと、その日劇の前に来ると、ポツポツ人が立っていて、笑みを浮かべながら近寄ってきて、こう言うのです。「ちょっと時間ある?すぐに終わるアンケートなんだけど…」中学生ですから、なかなか即座に断われません。「あ、はい」と答えてしまうと、バインダー片手に「今日は、何をしに銀座に来たの?」とか「趣味教えてくれる?」とか聞かれて、最終的には「映画って興味ある?」となるのです。結局は映画を安く見ることが出来る会員券のようなものを売りつけられるのです。私はいつも、「今日は赤尾敏の演説を聞きに来たから」とか「母のために東京羊羹を買ったら、帰りの電車賃がなくなりました」と、ワケの分からないことを言い続けていたので事なきを得ましたが、ロクでもない会員券を買わされたという話は、この頃よく聞かされました。今でも、マリオンの前を通る時は、そのアンケートの光景が思い出されます。そして、アンケートと言って思い出す洋楽は、この曲しかないです。ま、アンケートを歌うという発想自体がめずらしいと思いますが…。

 


The Rutles - Questionnaire

 

Hey, mister man on the street, excuse me

Do you have a few moments to spare

Don't worry

I'm not trying to sell you anything you wouldn't want

I'm just questionnaire

Tell me what you think about this low-fat diet shampoo

Do yot think it's crunchy, half-crunchy or not crunchy at all

Put a tick in the appropriate box

There's nothing to it

Yes, No, Don't know, I don"t care

I'm only a questionnaire

Only a questionnaire 

 

あの、通りを歩く男性の方、ちょっとすみません

お時間少し頂けませんか

心配はご無用です

お望みではないものを売りつけたりしませんから

単なるアンケートですので

この低脂肪ダイエットシャンプーについてどう思われますか

カリカリ、結構カリカリ、または全くカリカリではない

当てはまると思うところにある四角の中にチェックを入れて下さい

難しいことは何もないですから

はい、いいえ、分からない、構わない

ただのアンケートです

単なるアンケートです

 

これは、ビートルズのパロディバンドである"The Rutles" の"Questionnaire"です。上の静止画の左のジョン・レノンもどきの人がNeil Innesという人で、The Rutles の全曲を作っています。この曲は、ジョン・レノン・テイストで続き、2番でもおかしなアンケートを続けていきます。説明は不要だと思いますが、アンケートは英語ではなくフランス語(enquete)で、英語では"questionnaire"と言います。歌詞の中の"crunchy" には、「カリカリ」、「ザクザク」などの意味の他に、「健康志向の」という意味がありますが、今回は面白い訳になりそうな方で訳してみました。

 

The Rutlesは、モンティ・パイソンエリック・アイドル(静止画の右の人)たちが始めたコメディ番組が元となった架空のスーパースターバンドで、この曲が入っている彼らのセカンドアルバム"Archaeology"は、1996年に「再結成」したという触れ込みで発表されたものです。 ファーストアルバムの「ラトルズがやってきた オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ」を高校生の時に買ってから18年後に、まさかセカンドアルバムが発売されるとは思いませんでした。どちらもビートルズ感満載で、ビートルズファンであれば聞いて笑いが止まらないという、珍しいアルバムです。ビートルズファン以外でも、英語に興味がある方であれば、歌詞の馬鹿馬鹿しさを楽しめますので、また折をみて取り上げたいと思います。