えいご日日平安

つれづれなるままに 日暮らし 硯に向かひて

明日は雨、他人は泥棒

ドイツで「一ヶ月1,200ユーロ(約15万円)を3年間、無条件であげます」という社会実験が始まることになったそうです。所得や仕事の有無を問わず、すべての国民が生活に困らないだけの一定額を受け取る「ベーシックインカム(最低限所得保障)」の有効性を調べるのが目的とのことで、8月18日に被験者の募集を始めたところ、わずか70時間で100万人に達したようです。今現在、募集が締め切られているかは分かりませんが、どのくらい多くの人々が応募したのか、大変興味があります。

 

「お金」と言ったら、この曲ですね、"The Beatles"の"Money"です。

 


The Beatles Money (That's What I Want) (Live) [HD]

 

 


The best thing in life are free

But you can keep them for the birds and  bees

Now give me more money

That's what I want

That's what I want

Yeah, that's what I want

 

この世で最高のものは自由だ

でも、そんなものは鳥や蜂のために取っておけばいい

オレにはもっと金をくれ

それさえあれば良いんだ

オレの欲しいのは金なんだ

実際の給付は2021年春に開始し、財源は寄付で賄うとのことで、今後この給付による労働意欲や精神面への影響を調べていくようです。実験を主導するドイツ経済研究所は、「質の高い学術的な手法だ」と客観的な研究結果が出ることに自信を示しているようですが、素人目には社会実験をする価値が本当にあるのかなと思えます。いくら勤勉と言われているドイツ人でも労働意欲には変化なく、経済的に余裕がある人は、いつもよりもお金を遣い、余ったら貯金、経済的に不自由な人が給付を受けたら、いつもであれば手が伸ばせないものに多少手を伸ばし、余ったら貯金、となるのではないでしょうか。財源が寄付だからこそ出来る研究としか思えないのですが……。

 

そう言えば、先日スーパーに行った時のことです。そのスーパーは、コロナ対策ということもあるのだと思いますが、購入した商品のバーコード読み取りを従業員が行い、支払いはレジに隣接の精算機で客が支払う「セミセルフ方式」をとっています。私の番になり、商品かごをレジ台に載せたら、レジ担当者の女性が急に精算機の方を向いて、何か慌てている様子なのです。その視線の先に目を移すと、私の一つ前の客も精算機の前で困っています。どうしたのかなと、しばらく見ていると、なんと私の二つ前の客が精算せずに行ってしまったようでした。私はあまり他人に興味がないので、ジロジロ見ていなかったのですが、二つ前にいたのは三十才前後の若い夫婦で、精算機のところで笑って話していたのは覚えています。今になって、あの二人の笑顔は、そういうことだったのかと思うと暗澹たる気持ちになります。レジ担当者と店長らしき人の会話から、六千円前後の未払いだったようでした。

 

最近は、スーパー店内の精算用かごを持って帰ってしまう客や、サッカー台にあるポリ袋をカラカラと手に巻いて数十袋も持ち帰る客が多いそうです。プラスチックごみを減らすためのレジ袋有料化が、スーパー経営者に新たな問題をもたらしているようです。上のいわゆる「万引」夫婦は言わずもがなですが、「お客様は神様です」スタンスで店舗を運営している方々が気の毒に思えて仕方ありません。ドイツの社会実験ではないですが、私には、日本でも「セミルフレジ」や「レジ袋有料化」などに対する消費者行動の調査・研究を事前にして、それをスーパー等にフィードバックするということが、まず必要だったのかなと思えてきます。

 

前述のスーパーでのレジ担当者の女性は、いつもはとても明るい接客なのですが、その日は非常にパニックになっていたのか、極めて大変すこぶる無愛想でした。私はもちろん精算をきちんとしますし、マイバッグも持っていきます。サッカー台のポリ袋も必要最低限しか使いません。あの若い夫婦は、スーパーへの商品代金だけではなく、私に対しても慰謝料を支払うべきだと思います。